決断

え〜…今までこのブログ上ではにおわせることは書いてきても直接は書いてこなかったことなんですが…
すでに読んでいる方はいると思いますが、2/16の日記に対するコメントで書かれてしまったので今日正式に表明いたします。本当は4/1にでも書こうと思っていたことなんですけどね…
まぁこのブログを読んでいる方は知っている方が多いのかも知れませんが…
僕は医師をやめます。
医師をやめてスポーツトレーナーの勉強をするためにカナダに行きます。

以下に理由やら決断に至る経緯を書きますが、長くなるので知りたくない方や別にどうでもいいという方は開かないでいいと思います。


来月の3月までで医師をやめて5月からはカナダのCSBAと言う学校に通う予定です。


スポーツトレーナーになるのは僕の夢です。きっかけは僕が高校生の時に野茂選手がメジャーに挑戦した時でした。失礼ですが、日本にいた時は在籍していた球団にもかけて「牛」と言う印象だった野茂選手がアメリカでメジャーで別人のようにスリムになって活躍していました。その肉体改造を観てスポーツ科学と言うものに興味を覚えました。スポーツ科学の本場アメリカで学びたいと考え、アメリカの大学への留学手段なども調べたりしました。
しかし、中学生の時から「将来医師になる」と言っていたこともあり、大学受験のときには親と相談した結果医学部を受けることになり、愛知医科大学に合格してそのまま医師への道を進みました。医学部入学にあたって自分で決めたことは「最低でも5年は医師をやる」と言うことでした。医師になってすぐに辞めることはしたくなかったし、5年間医師をやると30歳になると言うことで「30を前にもう一度考えよう」と考えたのです。


医師になってからもう一度やりたい事を考えたきっかけは失恋でした。こう書くと「なんだ、女にふられて日本から逃げるのか」と思う人もいるでしょう。まぁ否定はしません。結婚も考えていた女性と別れたことがきっかけとなったのは事実です。
おそらくこの失恋がなければ医師をやめるきっかけをつかめず、「自分がやりたかったことは本当はこれじゃないのになぁ」と思いながら、言い方は悪いけれどずるずると医師を続けていたのではないかと思います。


正直その後も色々と悩みました。特に去年の夏の医学生のつどいに参加した時には非常に悩みました。しかし、スポーツトレーナーになりたいという思いは12年前から変わらずにあるのにこのままではその夢に向かう努力を何もしないまま終わるのではないかと思いました。スポーツトレーナーになりたいという思いに対して僕がしたことと言えば、高校生の時にアメリカの大学に留学する方法を調べたくらいだな…と思ったのです。このままでは後悔すると思いました。精一杯の努力をしてそれでも夢に届かないのならばともかく、何の努力もせずにあとになってから「本当にやりたいことがあったのになぁ、あの時こうしていれば」と考えることはしたくないのです。


医学生として医学生のつどいや医学生ゼミナール、医師として医療活動やジャンボリーなど様々な活動を行ってきて、医師と言う職業や民医連に愛着も責任感もあります。医師不足が深刻な社会状況の中で自分が医師をやめるということに関しては申し訳なく思います。
しかし、それでも僕にとっては「スポーツトレーナーになりたい」と言う思いの方が強かったので医師を辞める決断をしました。うまくは言えませんが、僕は責任感だけから医師(医師に限りませんが)をやっていくことは嫌なんです。『大義のためには犠牲もやむなし』と言う考え方は大っ嫌いで、基本的には自分も他人も犠牲にして何かをやろうとは思いません。まぁそんなのは理想で、何かをするためには多少は何かを犠牲にすることは仕方ないのだろうと思いますが、大きなもの、【命】はもちろん【夢】とかは犠牲にしてはいけなものなのではないかと僕は思うのです。
だから、今までも僕の周りの人間が医学生を辞めるとか民医連を辞めるとか言う話で相談を受けたこともありましたが、僕は「本当にやりたい事があるならそれをやればいいと思う。そうじゃなくてただいまの状況が嫌で辞めたいだけならもう少し頑張ってみないすか」と話してきました。医学生に語る時も基本的には「民医連の医師や奨学生にならなければいけないとは考えていない。たとえば何かの研究とか民医連にいるよりも大学にいる方がやりやすいことを本当にやりたいのであれば民医連の奨学生にならなくてもいいと思う」というスタンスでやってきました。医学対としては失格かもしれませんが僕としては民医連に自信があったので「無理に奨学生にしようと意気込まなくても、単純に民医連の魅力を語れば民医連に共感してくれる医学生はたくさんいるはずだ」と言う思いや、「奨学生にすることが目的ではない。民医連に共感してくれる学生を増やすことが目的だ。やりたい事があって大学に残るという学生にだって民医連に共感してくれる学生を増やすことが重要だ」と言う思いがありました。


少し話がずれましたが、僕としては自分が民医連医師であるという責任感は感じていないわけではないのですが、それ以上にやりたい事があり責任感から夢を犠牲にすることはしたくないのです。全ての人が其々の夢を追える、少なくとも夢に向かって努力する機会を持てる社会が僕の理想の社会なので。その理想のために自分の夢を犠牲にすることは、僕にとっては本末転倒なのです。
それに、医師を辞めたからといって社会を変えていくための活動まで辞める気はありません。医師じゃないから、または民医連じゃないからそういう活動(医師不足解消のための活動も含めて)ができなくなるとは全く考えていないです。もちろん民医連医師じゃなくなってできることは少なくなるかもしれませんが、それでも必ず自分にできることはあるはずだと考えて、自分にできることを考え行動していくつもりです。その姿勢は今までと何ら変わりません。


そして、今まで医学生として、医師として過ごしてきた中で得た仲間は、医師を辞めるこれからもずっと仲間だと思っています。まぁ「民医連を辞める奴なんかもう仲間じゃねぇよ」と思われる方もいらっしゃるようですし、その気持ちもわかるので、それはそれでしょうがないと思っています。
それでも僕は、辞めるけど民医連が好きだし、医師不足も改善してほしいし、カナダに行くけど日本が住みやすい国になって欲しいし、日本が誰もが夢に向かって努力する機会を持てる国になって欲しいと願っています。そしてそのためにはその時の自分にできることをしていこうと思っています。
それを偽善と言われようと矛盾していると言われようと、自己満足と言われようと構いません。「そんなの偽善だよ」とか「矛盾してるよ」とか「自己満足だよ」とか言って何もしないよりは、偽善でも矛盾していても自己満足でも自分にできる何かを行動に移すことの方がずっと良いと思いますので。
そして、結果的には自分の行動が社会をよりよく変えていく大きな力のちっちゃな一部になると信じてますので。


最後の方はかなり話がずれましたが…
そういうことで僕はもうすぐ医師を辞めて日本を出ていきます。
それでも今まで僕の周りにいてくれた仲間は変わらず仲間だと思っています。
辞めていく人間の勝手な願いだとは分かっていますが、僕からの一方通行の思いではないことを願っています。